健康意識の高まりから、あらゆる生活水を見直す人が増えています。
そこで注目を浴びている水のひとつが、海水です。
もともとは海水魚の飼育やアサリの塩抜きに使われることがメインでしたが、最近は料理や美容に使われることも増えています。
そこで今回は、海水の作り方に関する以下のことについて答えていきます。
- 海水って何に役立つの?
- 海水を利用するうえでの注意点は?
- 具体的にどうやって作ればいいの?
- 何を用意すればいい?
この記事を読めば、すぐに海水を作れるようになりますよ!
もくじ
海水とは
まず海水とは、言わずもがな「海の水」のことです。
・・・と言いたいところですが、これでは説明になりません。
そこで、最初に塩分濃度の観点から海水についてご紹介します。
海水の塩分濃度は約3.5%
海水の塩分濃度がどれくらいかご存知でしょうか?
海水の塩分濃度は、塩分濃度を測る海水の採水地にもよりますが、だいたい3.5%と言われています。
ちなみに海水に浮けることでも有名なイスラエルの死海は、塩分濃度が30%を超えています。
「塩分濃度約3.5%の水=海水」ではない
この記事を読んでいただいている方のなかには、海水の塩分濃度が約3.5%とわかったときにすぐ「塩分濃度3.5%の塩水を作ればいいんですね!」と思った方もいるかもしれません。
残念ながら、「塩分濃度約3.5%の水=海水」ではないんです。
理由は後述しますが、海水を使う目的によって、塩分濃度約3.5%の水で足りる場合もあれば、ちゃんとした「海水」を用意しなくてはいけない場合もあります。
海水の利用目的は?
では、あなたが必要とする「海水」は、ただの塩分濃度約3.5%の水でしょうか?
それともちゃんとした海水でしょうか?
目的別にどちらの海水が必要なのかをご紹介します!
海水魚の飼育
まずは、海水魚の飼育です。
「魚」に限らず、海の生き物すべてを指します。
この目的で海水を使う場合は、絶対にちゃんとした海水を使ってください。
ここでの「ちゃんとした海水」には、海からすくった「天然海水」はもちろん、「人工海水」といういわゆる海水の素で作った水も含みます。
絶対に天然海水または人工海水を使う
その理由は、海水に含まれているミネラルなど、海の生き物が海中で暮らすために必要な成分が塩分濃度3.5%の水には含まれていないからです。
そのため、塩分濃度3.5%の水に比べれば人工海水を作るにはお金がかかりますが、生き物を死なせないためにも絶対に人工海水を使用しましょう。
もちろん、海から天然海水を採れるのであれば、それでもOKです。
料理
料理に海水を使う人もいるのではないでしょうか。
このときは、塩分濃度3.5%の水を使いましょう。
ただ、プランクトンなどが海水中にいる恐れがあったり、海の生き物を飼育するためのコンディションに調節されているので、逆に天然でも人工でも海水は避けたほうがいいでしょう。
海水を料理で使うのはアサリの塩抜きだけじゃない!
海水で料理を作ると聞いて多くの方がイメージするのは、アサリの塩抜きだと思います。
しかし、他にも料理で海水を使うことがあるんです。
たとえば、お肉を塩水に漬ける「海水漬け」と呼ばれる調理テクニック。
海水漬けをするとお肉に塩分と水分がしみこむので、お肉を焼いてもお肉の水分が減りにくく、ジューシーさをキープできると言われています。
さらに塩分もしみているので、下味もばっちりといえるでしょう。
海水漬けに使う塩水も、塩分濃度は約3%です。
ほかにはヨーロッパの船上コックたちが、長期の船旅で貴重な真水を節約するために、海水を料理に使ってきた歴史があります。
そのために、ヨーロッパでは、海水で調理する文化が伝えられてきました。
海水で魚介類を洗ったら、料理がおいしくなったという言い伝えから、イタリアンのアクアパッツァが誕生したといわれています。
イタリア南部には海水を使ったレシピがほかにも残っていて、こうした料理を作って新たにレパートリーを増やすのもおすすめです。
美容
人間の体液には、海水と同様にミネラル成分が含まれています。
そのため、昔から海水は肌にいいとされていて、アトピー治療に海水浴が有効という説も古くからささやかれているんです。
海水は、人工的な成分を含まない100%自然由来の材料で作られているので、オーガニックにこだわりがある方からも海水の美容利用は人気。
美容目的で海水を使いたい場合は、天然海水または塩分濃度約3.5%の水がおすすめです。
人工海水は、基本的に海水魚の生息環境に合わせて海水の成分が配合されているので、肌に塗布したり口に入れたりするにはおすすめできません。
使い方次第で美容効果はさまざま
海水は、使い方次第でさまざまな美容効果を期待できます。
たとえば、マグネシウムで肌のハリをよくしたり、海水中の塩化カリウムなどの成分で肌を保護したりなどが挙げられるでしょう。
ただし、これらの効果を得ようとして長時間海水浴をしてはいけません。
というのも、紫外線や潮風の刺激を受けて、海水の治癒力以上のダメージを受けてしまったり、目の健康を損なったりしてしまう恐れもあるためです。
これら懸念もあるため、長時間または頻繁に海水浴をする場合は、日焼け止めやサングラスで他の部位のケアを忘れずに行うようにしてください。
海水を利用するうえでの注意点
ここから先は、海水を利用する上での注意点をいくつかご紹介します。
ここで紹介する注意点は3つとなります。
1.体質に合わない可能性がある
ひとつめの注意点は、体質に合わない可能性があること。
たとえば、海水浴がアトピー治療に効果的だと一般的には言われていますが、効果があるかどうかは個人によります。
そのため、海水浴後にアトピーがよくなった人もいれば、アトピーが悪化してしまう人もいるということも、念頭に置いておくようにしましょう。
止痒効果が高く, 湿潤局面の改善や保湿効果などが認められた。副作用として, 使用時の刺激感および長期連用により乾燥肌の出現がみられた。比較的かゆみのコントロールしにくい症例に対して, 本療法は容易で有用性の高い補助療法になりうると考えた。
引用:CINII(アトピー性皮膚炎における塩水療法 : 臨床的有用性の検討)より
美容・治療目的の場合はパッチテストを必ずする
そのため、アトピーなどの治療目的や美容目的で海水を利用する方は、必ずパッチテストを事前にしましょう。
パッチテストの場所は、二の腕の内側がいいとされています。
これは、万が一腫れやかぶれが起きても、他の人に気づかれにくいからです。
パッチテストで腫れやかぶれが起きたら、必ず海水の使用は中止して、近くの皮膚科で医師の診断を受けてください。
2.海水を作ったあとの道具の掃除は念入りに
海水は天然海水や人工海水、塩分濃度約3.5%の水、どれをとっても塩分がかなり含まれています。
3.5%と数字を見るとたいしたことがなさそうですが、ちょっと舐めただけで明らかに塩辛いとわかるはずです。
つまり、たとえ3.5%だとしても、塩分濃度はかなり濃いといえるでしょう。
そのため海水づくりや、そのあとの保管に使う道具が金属製の場合、道具が錆びて劣化してしまう可能性があるんです。
こうした劣化を防ぐためにも、かならず海水はしっかりと洗い流すことを忘れないようにしてください。
錆びない道具を選ぶのも方法のひとつ
錆を防ぐためには、使用した道具について洗うことは必須です。
ただ、どうしてもその作業が面倒くさいという方は、万が一のために錆びてもいい道具を使いましょう。
ほかにも、シリコンや塩化ビニール、プラスチックなど、錆びない素材の道具を最初から使うのも、選択肢のひとつです。
3.海水は飲食に使えない
先述のとおり、プランクトンなどが海水中にいる恐れがあるため、残念ながら天然海水は飲食目的には使えません。
同じく、人工海水も飲食用に調合されたものではないので、人工海水も調理には使わないでください。
つまり、飲食用に海水を用意したいときは、塩分濃度約3.5%の水を用意しましょう。
海水を使う場合は海水魚の飼育のみ
とくに天然海水は、含有成分が地域や水深によって変わるものです。
そのため、衛生面での保証もできないので、海水魚の飼育用以外で天然海水を使うことは基本的におすすめできません。
どうしても天然海水を飲食または美容目的で使いたい場合は、自己責任でご使用ください。
海水の作り方
ここからは、いよいよ本題です。
海水の作り方をご紹介します。
天然海水は海から海水を汲むだけなので、今回ご紹介する作り方は、塩分濃度約3.5%の水と人工海水のふたつとなります。
では順にみていきましょう。
海水(塩分濃度約3.5%の水)の作り方
まずは、塩分濃度約3.5%の水の作り方をご紹介します。
海水魚の飼育用以外であれば、基本的に何でも使える海水です。
用意するもの次の4つとなります。
- 水:作りたい海水の96.5%分の重さ
- 塩:作りたい海水の3.5%分の重さ
- 容器:作りたい量の海水を入れられる大きさ
- かき混ぜ棒(泡だて器などでも可)
かき混ぜ棒さえあれば、塩分濃度約3.5%の水は作れます。
では、これら道具を使った具体的な作り方もみていきましょう。
1. 容器に水を入れる
まずは、容器に水を入れましょう。
多くの方が間違えがちなのが、水の量です。
たとえば、塩分濃度約3.5%の水100mlに対して「水100ml、塩3.5g」と考えている方は少なくありません。
この場合、塩分濃度は「3.5g ÷ 103.5g」なので3.38%になってしまいます。
もちろん海水としては、許容範囲の誤差ですが、正確に測れた方がベターです。
とにかくまずは、100mlの水を用意しましょう。
2. 塩分濃度が約3.5%になる量の塩を入れる
次は、塩分濃度が3.5%になるように塩を入れます。
ここで知っておくべき計算式が、以下です。
塩の量 =(水量 × 濃度)÷(100 – 濃度)
この式をもとに、塩の量は調節するようにしてください。
また、水100mlを用意した場合、配合する塩の分を加えた分だけ、できあがる海水の量も増します。
水100ml+塩3.5g=海水103.5g
この点を考えると、「100mlの水に3.5gの塩で3.5%の濃度の食塩水」というものが、間違いであることに気が付くのでないでしょうか。
とはいえ、世界中の海水の濃度は大体「3%~3.5%」程度(太平洋は3.4程度)なので、そこまで誤差をシビアに捉える必要もありません。
3. 塩が溶けるまでよくかき混ぜる
さて、ここまでに入れた塩と水が混ざったら完成です。
と思っても、根気よく混ぜるようにしましょう。そうすることで溶け切ります。
塩水は、温水で作っても溶解度(水100gあたりに溶ける物質の量)はほとんど変わりません。
また、100gあたり27g前後が塩の溶解度なので、塩分濃度約3.5%分の塩は問題なく溶けます。
海水(人工海水)の作り方
続いて、人工海水の作り方をご紹介します。
人工海水は塩分濃度約3.5%の水に比べると、用意するものも作業工程も多くなるので、作業に入る前に用意のし忘れがないか必ず確認しましょう。
用意するもの
人工海水を作るために用意すべきものは、以下の8つになります。ひとつずつ確認していってください。
- 水:人工海水のパッケージ参照
- 人工海水の素:パッケージ参照
- 容器:作りたい量の海水を入れられる大きさ
- かき混ぜ棒(泡だて器などでも可)または水中ポンプ
- 水温計
- 比重計
- オートヒーター
- カルキ抜き(※人工海水の素にカルキ抜きが含まれていない場合)
では、こちらも具体的な作り方をみていきましょう!
1. 容器に水を入れる
まずは容器に水を入れましょう。
購入した「人工海水の素」に、水との比率が書かれているので、それに従って水の量を割り出してください。
2. 人工海水の素にカルキ抜きが含まれていなければ、カルキ抜きを入れる
もし、人工海水の素にカルキ抜きが含まれていない場合、カルキ抜きをする必要があります。
水道水のカルキ抜きの方法とは?ラクにできるやり方や注意点をご紹介!もし固形型のカルキ抜きを入れる場合は、水の量に合わせてください。
3. 水温調節
人工海水の素を入れるために、オートヒーターで水温を調節します。
どの人工海水でも、25℃前後が目安です。
水温計を用意して、正確に温度を測りましょう。
4. 人工海水の素を水に入れる
水温の調節ができたら、人工海水の素を入れます。
水に入れる人工海水の素の量は、パッケージや説明書に書いてある量を参考にしてください。
5. 人工海水の素が溶けるまでよくかき混ぜる
人工海水の素が、きれいに溶けるまで水とよく混ぜます。
少量の人工海水なら、泡だて器やかき混ぜ棒で十分です。
しかし、大量の人工海水が必要な場合は、その方法だと少し大変な作業となります。
その場合は、水中ポンプを使うとより簡単に混ぜられるので、ぜひ試してみてくださいね。
6. 比重計で比重を確認
最後に、比重計で人工海水の比重をチェックしましょう。
注意点は、比重計は基本的に消耗品ということ。
比重計の針に人工海水をつけて使うため、針に残った塩で針が劣化して、比重を正しく計測できなくなってしまうからです。
海水を作る頻度にもよりますが、2~3カ月に一度ペースで買い替えるのがおすすめ。
ちなみに海水の比重は、1.023がベストです。
そこから「±0.003」、つまり1.020から0.026くらいまでなら誤差の範囲内といえます。
1.019以下だったり、1.027以上だったりしたら、水や人工海水の素で比重を再調整してください。
ちなみに、比重は水温によっても変わるので、正確に測定するためには水温を25℃に調節しましょう。
海水づくりでカルキや不純物が気になるならコレ
海水づくりで、人工海水の素を利用する場合、カルキ抜き素材が入ってることがあります。
もしそれ以外の場合は、カルキ抜きをしなくてはいけないため、これを面倒に感じる方も多いでしょう。
そうしたときは、「浄水器」か「次世代ウォーターサーバー」を利用してしまったほうが、生活面でも良いかもしれません。
とくにウォーターサーバー型であれば、好きな時に冷温水の両方を楽しむことができるので、より利便性も上がるのではないでしょうか。
浄水器を活用する
まず浄水器についてですが、近年の浄水器は高性能で、あらゆる不純物を除去してくれます。
水道水に含まれるカルキについてはもちろん、濁りの原因となる物質やカビ、またサビなどについても除去してくれるのです。
ここ数年で水道水への関心が高まったこともあり、浄水器やこのあと紹介するウォーターサーバーは、注目の的にもなってますよね。
水道水は確かにキレイな水ではありますが、自宅に届くまでの環境によっては、そうも言えない状態となっていることがしばしばです。
このことについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみましょう。
水道水は危険!?おすすめできない理由と安全に水を飲む方法また浄水器にも、実に豊富な種類があり、値段も様々です。
浄水器のおすすめについては、以下で詳しく紹介していますので、気になる方はサッと目を通しておきましょう。
蛇口直結型浄水器のおすすめは?コスパと機能で徹底比較次世代型ウォーターサーバーを活用する
次に「次世代ウォーターサーバー」についてですが、これは通常の宅配型ウォーターサーバーとは異なり、水道水を活用するものとなります。
水道水をROフィルターというものに通すことによって、RO水(極細フィルターに通すことで、ピュアウォーターに近い水)を生成するものとなります。
これを利用する場合は、月額4,000円程度で済むので、経済的にも良いのではないでしょうか。
また温水も楽しむことができるため、とくに注目のウォーターサーバーとなります。
次世代ウォーターサーバーとしておすすめなのは、「ウォータースタンド」です。
デザインも優れていますので、一度公式HPをみてみても良いでしょう。
その他にも知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
非公開: 水道直結型のウォーターサーバー比較ランキング!選び方とおすすめは?海水づくりをマスターして新しい楽しみを作ろう
今回は、海水の作り方や必要なもの、注意点についてご紹介しました。
と思った方も多いのではないでしょうか?
海水魚の飼育、料理、美容のどの目的で海水を作っても、この記事通りに海水を作れば満足が行くものが作れるでしょう。
また、海水の作り方自体は非常にシンプルなので、ほかの使い方にチャレンジすれば、新たな海水の楽しみ方に気づけるはずです。
繰り返しになりますが、パッチテストや人工海水の誤飲で体調不良になったら、必ず海水の利用を中止して病院などに行ってくださいね。
正しく海水を使って、生活に新しい楽しみを作りましょう!